not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

2022-01-01から1年間の記事一覧

なんか女なんてめんどくさいじゃない

小さな失敗が続く昨今。玄関の鍵を開けたまま寝たり、台所のセラミックヒーターを消し忘れたり、そんなヤラカシ。でも、毎日続くとちょっと落ち込む。 新刊を読んだり週刊誌の連載を追いかけたり、知らない曲を聴いたりカタカナばかりのアーティスト達に感心…

薄紅の秋桜が秋の日の

「こうやって着物を用意したのは、私達の年代までですよね」 同世代と思われる着物買取店の奥さんが、そう話しながら手際良くたとう紙を開いていく。 訪問着、黒紋付、色無地、帯や小物を合わせて四十点ほどを持ち込んだ。 「きっと、中を開いてらっしゃらな…

新しい季節は

一年に四回ほど行く洋服屋で秋物を買った。 娘くらいの歳の店員さんが見送ってくれる。 実はわたし、今月いっぱいで此処を退職するんですと言う。今までの経験を活かせる新しい仕事を見つけたいそうだ。そして、今まで優しくしてくださってありがとうござい…

双葉(あいみょん)

NHKで、18祭という番組を観た。 あいみょんと一緒にステージに立ちたい日本全国の18才世代が、メッセージを動画で送る。 あいみょんがそれを一つひとつ観て曲を作り、応募した1000人と共に歌う。 コロナ禍のため、農業高校の実習が出来ない男子たち。このま…

夏休み

八月も後半。 子供たちの夏休みも残り十日ほどになった。 近所の中学生達に会うたび 「宿題終わった?」 「まだー」 問題集に課題作文、読書感想文と自由研究…。 訊いてみるとその内容は、私が中学生だった頃と何も変わらない。 芸が無いなぁって思う。 今や…

古いアルバムの中に

アルバムの整理を始めた。 整理じゃない、処分だ。 自分が生まれた時から、結婚して娘達が産まれて携帯電話のカメラを使い始めるまでの数十年間に撮った写真たち。アルバムで30冊くらいある。 開けば懐かしい風景、人達、あーそうそう、あんなことこんなこと…

砂浜(佐藤雅彦)

「その村には、美浜と呼ばれる 湾に細長くとび出た美しい砂浜があった。」 装丁が良い。 撫でてみたくなるようなカバー。 余白を残した文字列。 青いイラスト。 穏やかに語られる子どもの頃の思い出。 読みながら、小学生まで、夏休みの度に祖父母の暮らす山…

なんで勉強するの?

以前、ほぼ日刊イトイ新聞『今日のダーリン』に、糸井重里さんが娘さんから 「なんで勉強するの?」 と訊かれ、返事を考えてみたという話があった。 私もその質問をよく受ける。 「大人になってルート計算とか使うの?」 「歴史の年号を覚えて何の役に立つの…

いとまの雪(伊集院静)

桜を待ちわびていたのはつい先日なのに、もう花は散ってしまった。 コロナはいつまでも蔓延り、戦争は止まず、人のエゴは途切れることがない。 綺麗に幕引きできる花や鳥を見習えば良いのにね。 ふとしたきっかけで、時代小説を読んだ。 伊集院静『いとまの…

はるになると(ジョーン・ウォルシュ・アングランド)

誰のためでもなく絵本を買うようになった。 娘たちが幼い頃は、家計も気持ちも絵本を買う余裕がなかった。 それなのに、今になって絵本がおもしろい。 この二冊は、小川糸さんのエッセイの中で見つけた。ジョーン・ウォルシュ・アングランド原作で小川さんが…

断片的回顧録(燃え殻)

なんだか、悲しくなるニュースばかり流れてくる。何気なくテレビを付けると悲惨な映像に立ち尽くす。そんな日々だけど皆んな元気ですかと、誰にともなく訊きたくなる。 SNSで『books are magic』というポスターを見つけた。そうだね、どんな時も本は背中を押…

向田理髪店(奥田英朗)

北海道の小さな町。 過疎化高齢化の進む地に暮らす人たちの心情やさまざまな出来事が描かれた連作集。 六編それぞれが完結するたび、ほわっと心あたたまる。 親をみるため町に残ったりユーターンした五十代。生まれ育った故郷の町おこしに情熱をかける二十代…

どんな旅の空にも美しい出逢いがある

旅は出逢いがあるから愉しいのだと、少しわかってきたこの頃。浜美枝さんのブログに、旅の話が書かれていた。 ある地に建つ趣ある旅館のこと。女将さんとの出会い。浜さんは、きっと何度か其処へ宿泊されたのだろう。 女将さんは、老舗の料理屋の娘さんだっ…

マフラー

年始に娘から 「お母さん、ベージュと黄色のマフラー持ってるよね。アレ、ちょーだい」 サラリと言われた。 あれはダメ。とても気に入っているの。 そんな会話を、昔したことを思い出す。 学生の頃、アルバイト先で二つ年上の男の子が巻いていたマフラー。赤…

スナックちどり(よしもとばなな)

ほんとうに久しぶりに、一冊一作品の小説を完読した。 以前は上下巻やそれ以上の長編も読んでいたのに、根気が続かなくなったのか小説という世界に飽きたのか、ここ数年間、短編以外の小説から遠のいていた。 読みたくなったのは、表紙に惹かれたのかもしれ…