なんだか、悲しくなるニュースばかり流れてくる。何気なくテレビを付けると悲惨な映像に立ち尽くす。そんな日々だけど皆んな元気ですかと、誰にともなく訊きたくなる。
SNSで『books are magic』というポスターを見つけた。そうだね、どんな時も本は背中を押してくれたり、頭を撫でたり抱きしめてくれたりする。
昨年末に予約した燃え殻さんの『断片的回顧録』がようやく手元に届いた。
「やっと来たね」
長い間待っていたご褒美を両手で撫でる。
直木賞でも芥川賞でもない、アルバイトから社員になって、Twitterから作家になった。
ラジオで自らをそんな風に話す著者。自虐とか謙遜とかではなく、ありのままの言葉が心地良い。
その言葉は、著書と同じだ。
この本を読み終える頃、燃え殻さんの文章のどこが好きなのかわかった。
読み手に向いて書いてないところ。いや、たぶん向いて書いていらっしゃるだろうけど、そう感じないところ。小説にしても随筆にしても、どこか遠くに視点があってこちらを見ていない。
だから、読み手の方が寄り添う。
「セブンスター、スパスパ」に泣ける。
日々綴られた言葉はほわほわしてるようで、時折ドキッとさせられる。
それがたぶん、好みなんだろうな。