not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

断片的回顧録(燃え殻)

なんだか、悲しくなるニュースばかり流れてくる。何気なくテレビを付けると悲惨な映像に立ち尽くす。そんな日々だけど皆んな元気ですかと、誰にともなく訊きたくなる。

 

SNSで『books are magic』というポスターを見つけた。そうだね、どんな時も本は背中を押してくれたり、頭を撫でたり抱きしめてくれたりする。

 

昨年末に予約した燃え殻さんの『断片的回顧録』がようやく手元に届いた。

「やっと来たね」

長い間待っていたご褒美を両手で撫でる。

 

直木賞でも芥川賞でもない、アルバイトから社員になって、Twitterから作家になった。

ラジオで自らをそんな風に話す著者。自虐とか謙遜とかではなく、ありのままの言葉が心地良い。

その言葉は、著書と同じだ。

 

この本を読み終える頃、燃え殻さんの文章のどこが好きなのかわかった。

読み手に向いて書いてないところ。いや、たぶん向いて書いていらっしゃるだろうけど、そう感じないところ。小説にしても随筆にしても、どこか遠くに視点があってこちらを見ていない。

だから、読み手の方が寄り添う。

 

「セブンスター、スパスパ」に泣ける。

日々綴られた言葉はほわほわしてるようで、時折ドキッとさせられる。

 

それがたぶん、好みなんだろうな。

 

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