not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

2019-01-01から1年間の記事一覧

よるのむこう(nakaban)

子どもの頃は、とても寝付きが悪かった。 二段ベッドの上が私で下が祖母。小さなアパートの二階。階下は母の小料理屋。 夜中までずっと、賑やかな笑い声と歌声。 祖母が電気を消して、一時間…二時間…真っ暗な天井を見つめていた。 夜の闇が怖くなって祖母を…

I WILL 69 YOU (南佳孝)

あれは何年前だったかしら。いや、何十年前だったのか。 自分が暮らす小さな街の小さなホールで、南佳孝さんのライブがあった。 当時19歳くらいだった私は、南佳孝さんをきっかけに付き合い始めた人と観に行った。 好きな曲もたくさん聴けて、もっともっと楽…

日日是好日(森下典子)

最近、めっきり忘れ物が増えた。 ここ一月半ほど、いつもと違う生活をしているので余計かもしれない。 どんなに確認しても、見直しても、落ち着いてみても、一日に必ず一つ忘れ物をする。 気をつければ気をつけるほど、ああまた忘れたと落ち込む。 落ち込ん…

古今和歌集仮名序(紀貫之)

先日久しぶりに、古今和歌集の仮名序を読む機会があった。 やまとうたは、人のこゝろをたねとして、よろづのことのはとぞなれりける。 (和歌は、人の心をもとにして、たくさんの言葉になったものである。) よの中にあるひとことわざしげきものなれば、心にお…

冒険王(南佳孝)

まだまだ暑い十月。 夏の名残が消えないけれど、稲穂はちゃんと頭を垂れて風に揺れている。 秋なのかな…と思ったら、南佳孝の『冒険王』が聴きたくなる。 1984年にリリースされたアルバム。 今日は、少し遠くまで車を運転した。 一年に五回ほど通るその農道…

Blue (Joni Mitchell)

朝が少し涼しくなった。 もう九月の中旬で、今年も残り四ヶ月も無い。 歳が増えると、気持ちと体がなかなか比例しない。 集中力が落ちたり、気力が湧かなかったりする時がある。 娘の話に返事をしたのに、覚えていなくて叱られる。 「お母さん、聞こうとしな…

色づいた果実(西城秀樹)

前回の記事で、琴の話を書いたとき、それを習っていた部屋を思い出した。其処は父の部屋で、趣味のオーディオとレコードと本が綺麗に並べられていた。オーディオは良い物らしく、私は触らせてもらえなかった。それでも、父は、私が大好きだった西城秀樹のレ…

簪(桑田佳祐)

世の中を憂うほど才知は無いけれど、たまに、疲れたなぁって時がある。 からだなのか、きもちなのか、ちょっと休みたいなぁって宙を見る。 「出来ることしか出来ない」 で、通らないことが多い。 どこで線引きするのか、どこまで折衝するのか。 突っぱねたい…

元気を出して(Lisa Halim feat. Micro from DefTech)

三日後に海外旅行へ発つ娘が、大きなスーツケースに少しずつ荷物を入れている。 ふと、スマホを出して、 「これ、カバーなんだけどとてもいい曲」 と、聴かせてくれる。 Lisa Halim と、デフテックMicroの、優しい波のような歌。 涙など見せない強気なあなた…

歩いて帰ろう(斉藤和義)

今年度は、なんだか仕事時間が増えている。 それに合わせて、生活時間が不規則になっている。 そして朝起きて夜寝るまで、時計ばかり見て、時間の計算ばかりしている。 空いた時間に美容院へ行き、帰りに寄り道をした。 懐かしい大学構内を日傘をさしてユラ…

South Of The Border (南佳孝)

ようやく梅雨らしい天候になった。 降り続く雨が少しあがったら、鳥が急いて鳴き始め、蝉も負けじと音を立てる。 暦ではもう夏だけど、本格的な暑さはまだまだこれから。 夏が来る。 そう感じたら、皆それぞれに聴きたい曲を思い浮かべるんじゃないかな。 私…

残花亭日暦 (田辺聖子)

少し遠出のドライブを楽しみにしていたら、当日は朝から大雨。 それでも、たまのお休みなのにと目的地を変えて出かけた。 その図書館は、山の中の小さな駅に連結している。 TSUTAYAとスタバも入っていて、椅子もテーブルもたくさんある。 好きな本を、好きな…

夢で逢ってるから (DREAMS COME TRUE)

先日、娘と二人で鎌倉へ遊びに出かけた。 鎌倉へは、まだ三度目の初心者旅。 駅を出て大勢の観光客から離れ、以前おしえてもらった"sahan"というカフェに歩く。 外の雑踏とは別世界のゆったりとした店内で、やさしいランチをいただく。 それから江ノ電に乗り…

斉藤和義 弾き語りツアー 2019

斉藤和義はなぜカッコいいんだろう、と改めて思う。 色んな"カッコいい"があるんだけど、この人の不思議。 一昨年のライブは弾き語り。昨年はバンド。そして今年は弾き語り。 その間に、中村達也とのユニットMANNISH BOYS の活動。 ドラマの主題歌、映画の主…

サザンオールスターズLIVE TOUR 2019

8会場にエントリーしたら、1会場に当選した。 娘と同行二人片道5時間、電車に揺られ人に押され行列に並び取るもの手につかず。 漸く会場に入れたら、女子お手洗いの長い長い列。 あーもうライブはこれを最後にしようかしら…なんて弱気になる。 済ませて手を…

愛がなんだ (角田光代)

読みながら家事をしながら、読みながらごはんを食べながら、また次を読みたくなる。 文章もすらすらと読みやすく、合間合間の情景描写や食べ物描写が、たまの息苦しさを緩和してくれる。 人を好きになるってこういうことじゃないかな。と、思う。 この主人公…

人にやさしく (THE BLUE HEARTS)

友達4人で食事をしていたら、一人が最近またブルーハーツを聴いてると言う。 朝の出勤時の車の中は大音量よ、と笑う。 えー。彼女がブルーハーツを聴くとは知らなかった。嬉しい。 他の二人は、キョトンとしている。ブルーハーツを知らないのだって。これも…

デ・ジャ・ヴー (南佳孝)

今年の春は、なかなか暖かくならない。 家の中では、いつまでもウールのセーターを手放せない。 桜は満開を終えてハラハラと散り始めた。家の庭も車も淡いピンク色に埋まる。 つい先日まで、なんとなく気持ちが上がらなかった。 この季節は"木の芽立ち"とか"…

Oh! クラウディア (サザンオールスターズ)

数年前までは、アイラインを引かなかった。 歳を取ると顔や体の輪郭がぼやけてくる、というのは本当で、ふと、ガラスや鏡に映った自分の顔が元気無さそうに見え始める。 それで、アイラインを少し入れてみると、いくらかはマシになる。 娘におしえてもらいな…

スピーチバルーン (大瀧詠一)

雨を降らせながら、春が近づいてくる。 ゆっくりと嬉しそうに、花がほころび鳥が囀る。 細いかげは人文字… ほんわりと白い陽光の中を運転しながら、大瀧詠一の『スピーチバルーン』を口遊む。 君は春の客船 冬の港見てるだけ… 言いそびれた白抜きの言葉が、…

心に響く言葉、との出合い

好きな雑誌の一つ、&Premium の4月号は『心に響く言葉、との出合い』。 買って帰ってテーブルに置いていたら、娘が見つけて開いていた。 「おかあさん、こういうの、好きよねー」 と、笑う。 そうかもしれない。 言葉に心打たれたり、言葉で突然泣けたり、言…

この世で一番キレイなもの(早川義夫)

いつの時代から「正直」だけで生きていけなくなったのだろう。 利便性のある嘘は、暗黙の了解で世の中にたくさんある。 建前の決め事は、守られるために作られていない。 見えないフリ。聞こえないフリ。 強いものには巻かれるか吠え返すか。 弱いものには関…

一切なりゆき (樹木希林)

本屋の中を歩いていると、樹木希林さんの言葉を集めたものが出ていた。 先日お亡くなりになったのに、早いなぁと思う。 いろんなメディアが彼女の言葉を取り上げ、それは様々な人たちの胸を打ち夫々の人生を顧みるきっかけとなった。 私は意地悪なのだろう。…

キオミ (内田春菊)

山田詠美の話をしたら、その人が、内田春菊の『キオミ』をおしえてくれた。 早速、買って読んでみた。 なんだろう。そこに書かれている頃の感覚を覚えているようないないような。 読み終えて、おしえてくれた人とまた話したら、彼はこの本を二十年以上前に読…

使い分け

いつも読ませていただいているブログに、SNSやブログの使い分けの話があった。 その方によれば、ブログはライブラリー、Facebookは社交場、Twitterは刹那。 だそうだ。 「そうした使い分けが、僕の書きたいことのバランスを取ってくれる。」 書くことが仕事…

120%COOOL (山田詠美)

休日の朝、一人で山田詠美の『120%COOOL』を読む。 止まず湧き出てくる美しい言葉にため息が漏れる。 お昼は友人に誘われてランチ。 経済や歴史を好きな彼女が、最近読んだ本の話を聞かせてくれる。 「貴女は最近何を読んでるの」 と訊かれて、120%COOOLと答…

ひとり紅白歌合戦2013 (桑田佳祐)

サザンオールスターズのライブチケットをエントリーして、結果待ちの日々。 車の中で『第二回ひとり紅白歌合戦』のDVDを観ている。 ひとり紅白歌合戦は、桑田佳祐がAAAのため開催しているライブで、昨年第三回で最後となった。昭和歌謡を中心に最近の曲まで…

でーれーガールズ (原田マハ)

年末年始は、皆の笑い声やお喋りをBGMに、ただただ動いてやるべきことをする。 私も皆とのんびり遊んでいたいけど、なかなかそうはいかない。 今年はいつになく、不穏な出来事もあり、気持ちに少し傷が出来た。 そんなお正月三が日が終わり、ようやく一人に…

ボヘミアン・ラプソディ

昨年末、友人に誘われて、映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観た。 そのとき彼女はすでに2度目で、翌週また一人で3度目を観に劇場へ出かけたらしい。 実を言えば、私はクイーンをあまり聴いたことがなかった。だから、クイーンへの愛着とか曲の知識も無くこ…