大平一枝さんの文章に出合ったのはかなり昔で、初めにビビッと感じるものがあり、それ以来追いかけている。
子育ての時期は私の方が少しだけ早かったけれど共感できることが多く、そうそうと頷いたり笑ったりシンミリしたり。
家で仕事をしていることも、私など大平さんに比べれば千分の一ほどだけど、心構えや工夫など教えてもらうことが多い。
お母さんとの関係も、えーっと驚くほど自分と似ていたりして、読めば涙が出てしまう。
それでもSNSや様々な記事での大平さんは、コロナなどモノともせず、ブレないお仕事をきちんとこなし、皆に愛され楽しくお酒を飲んでいらっしゃる…
なんて勝手なイメージを抱いていた。
でも、この本を読んでそれだけではなかったことがわかる。
「溢れる情報、根拠のない不安、もっともっとと欲張り請われるがままに増やし続ける仕事、隙間なく入れる予定、そして寝る直前まで興奮している私の脳。」
大平さんにも眠れない夜があるんだ。
この半年間、よく分からない不調が止まず、不安を抱いて病院を巡っていた自分の胸にストンと落ちてきた。
まさにこれだ。
不要不急の外出を控え、友人達とのお喋りも我慢して仕事を増やし小さな違和感を溜め込んで。
自分の知らない間にコロナ禍に苛まれていたんだ。
場合によって休むこと、問題を解決しようとせず待ってみること、自分を養生すること、「絶対」を脱ぎ捨てること…。
読み終える頃には気持ちが少し軽くなる。
そして意地を張らず無理をせず、少しだけ自分に正直になれる気がする。