仕事って何だろう。
そんなことを考えるようになった。きっかけはコロナ禍と年齢かもしれない。
若い頃は働くのが日常で前へ前へ進んでいたけれど、ふと立ち止まることが増えたなと感じる。
『スローシャッター』は、水産会社に勤務して25ヶ国を訪れた著者が、仕事の中で出会った人々との交流を描いた紀行エッセイ。
それぞれの国で任務のため小さな町に滞在する。そんな小さな町の名が出てくるたびグーグルマップで検索してみる。位置もわかるし、航空写真では全体の様子も見える。
家々の色、海の色、道の色。日本とはまったく違っていて、とてもおもしろい。
町には著者を待つ人がいて、共に仕事をしたり食事をしたり話をしたりする。どの国の人もどの町の人も、頑固だったり涙脆かったり優しかったり夢を持っていたりする。
人って、どの国に生まれても根っこは同じなのかもしれない。だから、環境を超えて通じ合えるのかな。
滞在日記の一つひとつに著者の人柄が見えてくる。そして、仕事をするってどういうことなのか、ヒントをもらえる。
お金をもらうだけじゃなく、人情だけでなく、喜ばれるだけじゃなく、苦しいだけじゃなく、そんなことじゃなく。
飛行機に乗れない私も、この本のおかげで世界各地に旅が出来た。地球には知らない町がこんなに沢山あって、知らない人達がこんなに沢山いて、日々笑いながら悩みながら暮らしいる。
頭ではわかっていても忘れていたなあ。
小さな箱の中でがんじがらめになっていたのかもしれない。
少し休もう。
休んで自分の頭と体に栄養をあげることにしよう。そうしたらきっと、今まで見えなかったものが見えてくるはず。