not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

九十歳。何がめでたい ( 佐藤愛子)

久しぶりに本屋へ寄った。

入り口近くに、ベストセラーがディスプレイされていて、佐藤愛子さんの『九十歳。何がめでたい』がランキング一位になっていた。

私がこの本を読んだのは、今年の二月。八十七歳の姑が、入院している時だった。

病室の窓からは、大きな工場が見える。その工場の向こうは海。

高齢女性には珍しくない圧迫骨折とはいえ、あまりに痛そうで見るのもつらい。

「九十歳のおばあさん達がね、皆んな泣くんですよ、痛くて」
辛そうに看護師さんがおしえてくれた。

なぜ九十になって泣かなきゃいけないのか。
今までの人生で、きっと何度も泣いてきただろうに。
なぜ、眉間に皺を刻み耐えなきゃいけないのか。
もう楽しいばかりでも良いはずなのに。

パワフルな九十歳だって、可愛らしい九十歳だって、これまでにずっと笑ってきたわけじゃない。

先に生まれた人が見せてくれるものは、自分がどう生きて、どう終わっていくかということ。
元気もせつなさも、すべてお手本なのだ。

 

 

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