世の中がザワザワと落ち着かない。
それはそうだ、生命に関わるたいへんな状況がジワジワと、そして急激に私たちに降りかかっているのだから。
じっと息を潜めているけれど、それでも私達は何にも関わらず生きることは出来ない。
家族、友達、ご近所、仕事、お世話になっている方達、皆んなと連絡を取り合う。
情報もたくさん、雪崩のように、渦潮のように、降りかかる。
いろいろな噂、それぞれの説、次々と変化する策、悲しいニュース、心安らぐ画像…
惑わされないように、落ち着いていたいね。
そんな中で、やはり、音楽と本は優しい。
空と、植物と、鳥の鳴き声、花の色にも気持ちが落ち着く。
ここ二日ほど、沢村貞子さんの『わたしの三面鏡』を再読していた。
七十を過ぎ、女優として、女として、人としての素直な心持ちを書いてある。
シワが増えて、体の動きが鈍って、アタマも緩くなって。
それに対抗したり受け入れたりしながら、人は最期を迎える。
「老女の甘ったれには、なりたくない」
老いは寂しいのだって、そう、父もいつも、どこにいても寂しいと漏らしていた。
私もいつか、そんな実感を持つ時が来るのだろう。
その時、甘ったれにならないよう気をつけたい。
生きていればいろんな経験をするね。
皆さまも、どうぞ無事でありますよう。