街の中は、もうクリスマス。
広場には大きなツリー。流れる音楽もディスプレイも、季節を急かす。
まだ早いでしょと横目で見ながら、そんな光景を見るといくつかの映画を思い出す。
その中の一つが、ロバート・デニーロとメリル・ストリープの『恋におちて』。
今の風潮では目の敵にされるタイプの恋だけど、この映画が上映される頃はちょっとしたブームだったらしい。日本でも、この映画に触発されたドラマや曲が人気だったりした。
ただ、この映画を観るときは、良いとか悪いとかよりも"恋"に帰るような気がする。
クリスマス・イヴの夜、ニューヨークの書店でぶつかってお互いの本を落としてしまう。そんな出会い。
もっと逢いたい、もっと話したい、もっと触れ合いたい。でも、戸惑いに揺れる。
少年少女の物語のような純粋でせつないシチュエーションなのに、二人の大人がなぜか似合っている。
「なにもなかった」「よけい悪いわ」
という台詞は有名で、これが純愛なんだろうなと感心してしまう。
クリスマスまであとひと月。
賑やかなのも楽しいけれど、一人の夜にこの映画を観て、ちょっとだけロマンティックな気持ちになるのもいいかもしれない。