not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

よるのむこう(nakaban)

子どもの頃は、とても寝付きが悪かった。

二段ベッドの上が私で下が祖母。小さなアパートの二階。階下は母の小料理屋。

夜中までずっと、賑やかな笑い声と歌声。

祖母が電気を消して、一時間…二時間…真っ暗な天井を見つめていた。

夜の闇が怖くなって祖母を起こす。今思えば可哀想に、祖母も寝不足になっていたのだろう。

 

小学校の修学旅行で大広間に布団を並べて寝た。一人、二人…寝息が増えていく。

三時間経っても四時間経っても眠れず、あんまり心細くて

「誰か起きてるひと」

と声を出してみたら、返事が無かった。

 

年の瀬も近づいた一昨日、好きな本屋に行った。

いろいろな本を手に取っては開き、また棚に戻す。

だけど、『よるのむこう』という絵本は、何度も何度も開きたくなる。

nakabanさんの絵に吸い込まれる。

夜の向こうに何があるのか知りたくなる。

あんなに苦手だった夜の向こうに。

ああ、そうそう、こんな気持ち分かる。

こんなものが見えていたんだ、と思い出す。

 

そうして

よるのむこうに、何があるか、わかった。

 

素敵な絵本。夜になるたび、ベッドで開く。

今日は大晦。

また、よるのむこうを開いて夜に溶けてしまおう。

もう、夜は怖くないね。

 

 

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