映画『あん』を観た。
ずっと気になっていたのに、先延ばしにしていたら、主役の樹木希林さんが亡くなってしまった。
なんて、さみしい。
この作品は、襟を正して観たいものだった。
「生きる」ということ、「自由」ということ。
「せつない」とか、「嬉しい」とか、そんな言葉では表せない感情。
誰にも苦しみはあるけれど、自分の努力や頑張りでは一生打破出来ない苦しみを背負うこともある。
そんなとき、どう生きるのか。
「私たちは、この世を見るために、聞くために生まれてきた
この世はただそれだけを望んでいた
だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ」
どれだけ素晴らしい俳優さんがいても、樹木希林さんじゃなきゃ生かせない映画があると思う。
彼女が話すから、生きる台詞がある。
河瀬直美監督の映像、カメラアングルもおもしろい。
あのカナリアが、どこかの空で鳴いているような気がする。
耳を澄ませたら、きっと、聞こえてくるね。