前回の記事で、琴の話を書いたとき、それを習っていた部屋を思い出した。
其処は父の部屋で、趣味のオーディオとレコードと本が綺麗に並べられていた。
オーディオは良い物らしく、私は触らせてもらえなかった。
それでも、父は、私が大好きだった西城秀樹のレコードを買ってきてくれて聴かせてくれた。
懐かしい45回転。何枚あったかな。
当時のシングルレコードには、A面にヒット曲、B面にはあまり聴いたことのない曲が収録されていた。
そのB面を聴くのが、楽しみだった。
そうそう。
中でも一つ、とても気に入った曲があって、父が仕事に行っている間に自分でレコードをセットして聴いていたっけ。
あの曲は何だったかな…。
と、YouTubeで検索するとすぐに見つかった。
『色づいた果実』という曲で、『愛の十字架』のB面。
絶叫タイプの激しい曲が多かった中で、この曲は力を抜いて語りかけるような歌詞とメロディー、歌い方が好ましかった。
一人で聴いていると、母が入ってきて
「あ、広島のおにーさんだ」
と、笑っていたことも思い出す。
ふたりで燃やした今日の夕焼けに
溺れてみるかい 秋だから…
昔好きだったアイドルは、闘病生活を経て早々に天国へ行ってしまった。
人は儚い。
『色づいた果実』をお気に入りにセットして、これからまた聴くことにしよう。