十年ほど前だったか、まだネットでの交流が新鮮だった頃。
ある「掲示板」で色々な方とお話しさせてもらっていた。
経営者さん、お医者さん、物理研究者さんなど、職種も年齢もバラバラな方達が、音楽、映画、スポーツ、暮らし…それぞれの日々の一部を共有する。
みなさん、ウイットある会話をあっさりとしていたので、気負いなく楽しかった。
優しい方ばかりで、映画や音楽アルバムの情報を教えてもらったり、たまにCDのコピーを送ってもらったりもした。
トリオ・エスペランサの『Segundo 』は、そのうちの一枚。
ブラジルで生まれた三姉妹のコーラスグループ。
このアルバムは彼女達の二作目で、アントニオ・カルロス・ジョビンの作品が中心となっている。三人の絶妙なアカペラが、なんとも言えず美しい。
秋の虫の声、三人の囁きのような会話から始まる。
だから、この季節が来ると必ず思い出して聴く。
気温はまだまだ高いけれど、忙しかった夏が終わりちょっとひと息つける季節にとても似合う。
そして、聴きながらいつも、このアルバムを薦めてくれた人はお元気かしらと思う。
ずいぶん前にその掲示板は無くなっても、後に結婚したという便りをいただいた。
ネットにも良い出逢いがある。
皆さんが元気でありますように。