斉藤和義の『紅盤』には、カヴァー曲も多い。
南佳孝の「スローなブギにしてくれ」には私的な思い出がある。
「キャンディ」は、松本隆の歌詞にため息が漏れる。そのきっかけで、原田真二の最近のアルバムを聴いてみると、当時には気づかなかった魅力を感じた。
「ジェラス・ガイ」は、ジョン・レノンが、オノ・ヨーコに作ったと言われている。
この程度の嫉妬は特別なものじゃなく、そうそう、と共感してしまう。
BONNIE PINKとデュエットしてる「真夏の果実」には艶がある。女性の声と絡むときの斉藤和義の声は、悪意の無いいやらしさがあっていい。
「天使の遺言」は、森雪之丞と早川義夫の最強な曲。他の誰にも作れない無二の価値を感じる。
沢田研二の「ダーリング」は、王道。
そして、「君に会うまでは」を、このアルバムで初めて知った。
誰の曲だろうと探したら、浜田省吾だった。そういえば、今まで浜田省吾を聴いたことがない。聴いていると突然、"べた"という言葉が浮かんできた。
辞書を引いたら「ひねりがなく、面白味に欠ける」と書かれている。
あんまり良い意味の言葉じゃないのかも。
今夜はそっと時計を 君はバッグにしまい
僕も気づかないふりで どこまでも歩くよ…
そうやってただ二人歩く。震える君の肩先に僕のセーターをかけなよって、うえ〜と思う。
でも。
そんなこと言いながら、内心は素敵だなぁとニヤける。
やっぱり恋は"べた"がいいね。