(ネタバレあります)
田辺聖子の原作を確かに読んだのに、内容を忘れていた。初版が1985年だから、もう38年も前なんだ。
そして映画化されたのは2003年。ちょうど20年前。
なぜそんなに西暦が気になるかと言えば、当時の時代風景を知りたかったから。
障害者に対する考え方がまだまだ遅れていて、ようやく福祉が見直されてきた頃だったのかもしれない。もちろん、今でも、それは進行形なのだけど、いくつかの場面に違和感をおぼえた。
それはさておき、この映画は「恋愛映画」なのだ。妻夫木君は3人の女性とベッドシーンを見せている。ツッコミどころは数々あるけれど此処には書けない。でも、その一人が、あの江口のりこさんなので驚いた。やっぱり彼女の佇まいは好きだな。
大学生の頃って女子と男子が曖昧に交じり合い、付き合ってるのか友人なのかわからないような関係でも許されたりする。
年齢だけ大人で心の中はまだまだ未熟。
恒夫は優しい。優しいけれど重みはない。
好きだから一緒にいられるわけじゃない。
相手が誰であっても、生活が混ざると現実になる。勢いで紙にサインすれば容易く抜け出せない。それが目の当たりになった時、恒夫は降りちゃったんだね。賢いジョゼはそんな彼を解放してあげたのだろう。
別れた後、ジョゼは電動車椅子で颯爽と坂道を走り、恒夫は縒りを戻した彼女の前で泣き崩れる。やっぱり女は強い。
魚のホテルが良かった。
海の底、貝のベッドで二人は貝になる。
私も一度遊びに行ってみたい。
どこにあるのかわからないけれど、わからないから尚、行きたいのかもしれないね。