この季節は、家に篭って仕事をする時間が増える。
それは例年のことだけど、今年はコロナ禍で余計に出かけない。
家族が居ない時はリビングで、家族が在宅のときは二階の部屋で、一人黙々と…いやモヤモヤと…机に向かっている。
よし、ここで休憩。
ハーブティーを淹れて、大好きなクッキーを出して、クロワッサン2019年4月バックナンバーの『あたらしい東京。』を開く。
旅行に出かけるなら東京。
京都、金沢、山口、伊勢…好きな処は数々あるけれど、一年に一度しか行けない一泊の旅。
そう思うとやっぱり、毎年東京に向かってしまう。
友人と二人で新幹線に乗り、東京駅に着くと
「じゃあね」
と別れる。
それから夜まで、お互い気の向くまま散策。
彼女は美術館やオブジェやデパート、私は美術館、雑貨屋、洋服屋、本屋、下町の老舗や商店街を歩き回り、其処に暮らす友人に会ったりして夜遅くホテルに向かう。
部屋に入ると、たいてい友人が先にチェックインしてビール片手に寛ぎながら
「早かったね」
なんて言ってくれる。
そんな恒例の旅も昨年は自粛。
『あたらしい東京』を見ながら行った気分になってみる。
あの川の景色もこの街の雑踏も、あのビルの空も、あの人の笑顔も思い出しながら、次はこの店にもギャラリーにも行ってみようと考える。
そしてこの未曾有の渦中に、その店が、施設が、あの人が、健在でありますようにとただ祈るばかり。