not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

いつも旅のなか (角田光代)

お酒を飲まない私に、お酒を飲む人達は

「あなたは人生損してるよ」

と言う。

果物が苦手な私に、果物が大好物な人達は

「あなたは人生損してるよ」

と言う。

お酒を飲んでいる人達は楽しそうだし、果物を頬張る人達は幸せそうだけど、取り立ててそれが欲しいと思わない私は、そうなのかなぁと思う。

 

でも、飛行機に乗れない私だけは、もう、自分で自分に

「あなたは人生損してるよ」

と言いたい。

 

旅は大好き。

芭蕉のように、片雲の風に誘はれて漂白の思ひやまず。

奥田民生のように、さすらいもしないでこのまま死なねーぞと心に秘める。

だから、角田光代のように『いつも旅のなか』に飛び込める人が羨ましくて仕方ない。

 

せめて、この本で旅をする。

スウェーデンフィンランドやロシアの空気を想像して、イタリア、マレーシア、ベトナム、台湾、キューバアイルランド…頬を触る風や埃、人の声や顔を思い浮かべてみる。

 

角田さんはバックパッカーで、旅程を決めない。歩いたり見たり食べたり感じたりしながら考える。

そして、ハッと「わかる」。

旅の経験は心をどんどん大きくする。

 

私はバックパッカーにはなれないし、一人旅はちょっとさみしい。

今はコロナウイルスでどこでも行けないけれど、それでもまたいつか旅立てるかな。

とりあえず、飛行機恐怖症をなんとかしなくては。

 

 

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