not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

愛がなんだ (角田光代)

読みながら家事をしながら、読みながらごはんを食べながら、また次を読みたくなる。

文章もすらすらと読みやすく、合間合間の情景描写や食べ物描写が、たまの息苦しさを緩和してくれる。

 

人を好きになるってこういうことじゃないかな。と、思う。

この主人公はちょっと行き過ぎかもしれないけど、どこで止まるかは性格にも拠るし、環境にも経験にも拠る。

相手を傷つけるわけじゃなく、相手の平穏を願い、自分が傷つくことも外れることも厭わない。

 

片想いでも、恋人同士でも、二人が同じだけ"好き"というのは難しい。

どれだけ連絡して、どれだけ逢って、どれだけ抱き合って、どれだけ見つめ合っても、二人が同じように満足していられるわけじゃない。

その割合を認めながら、バランスを保っていく。

 

誰でも一つくらい我を忘れる恋をしたことがあるんじゃないかな。

痛かったり嬉しかったり、せつなかったり悔しかったり、自分で自分を慰めたり納得させたり。

それが人を好きになるってことなんだと、ずいぶん大人になって分かる。

分かったからって、何歳になっても恋はせつない。

 

この先、テルちゃんはどうなっていくんだろう。

十年後、二十年後。

少し楽しみ。

 

 

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