not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

キオミ (内田春菊)

山田詠美の話をしたら、その人が、内田春菊の『キオミ』をおしえてくれた。

早速、買って読んでみた。

なんだろう。そこに書かれている頃の感覚を覚えているようないないような。

読み終えて、おしえてくれた人とまた話したら、彼はこの本を二十年以上前に読んだらしい。

その時、男性作家が書くセックスとは描写が違うと感じたそうだ。

 

たしかに、男性作家と女性作家のその描写は違うように思う。

私個人の好みでは、女性作家の書き方の方がしっくりくる。

中でも、山田詠美向田邦子が好き。

 

音楽を作る人が書いたブログに

「いかに品をもって毒を吐けるか」

という話があった。

それにはユーモアが必要で、そして洒落てなければいけないと、ある。

 

セックス描写も、

「いかに品をもっていやらしく書くか」

のような気がする。

その点では、『キオミ』は私には少しつらい。それがリアルであり、それが人間であり、それが本質であるのはよくわかるけれど。

 

見えないほどいやらしいものはない。と、私は思っている。

見えないほど相手がよく見える。

音とか、匂いとか、息とか温度、声や感覚。

そんなもので書かれた作品が、案外、品のある猛毒だったりする。

 

 

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