休日の朝、一人で山田詠美の『120%COOOL』を読む。
止まず湧き出てくる美しい言葉にため息が漏れる。
お昼は友人に誘われてランチ。
経済や歴史を好きな彼女が、最近読んだ本の話を聞かせてくれる。
「貴女は最近何を読んでるの」
と訊かれて、120%COOOLと答えたら、私も読んでみようと言っていた。
実際に彼女がこれを読んだらどんな感想を持つだろう。
よく分からなかったとか、貴女らしいと笑うかもしれない。
もし、彼女が目を輝かせて
「素敵だった」
と言ったら、私は今以上に彼女と近づける気がする。
思いが交錯し、重なり合うひと時が、いったい誰に証明出来るだろう。それらはすべて甘い錯覚ではないのか、と私は思うのだ。二人の違う肉体を持った者同士が、ひとつになれるわけなどないように思える。
共有出来るものがあるとしたなら、二人で過ごす時間。それのみにつきるだろう。
今、在ること。
今、有るもの。
今、居る場所。
ストーリーを読むのではなく、ベッドの上を読む。
欲情も劣情も書きながら、決して下卑ず浮つかず、人生の機微まで教えてくれる。
この短編集自体が、120%COOOL。