山田詠美の小説はいくつか読んでいても、エッセイはあまり読んだことがない。
『4 Unique Girls』は、ある女性誌の巻頭連載エッセイをまとめたもの。
こんな形で"山田詠美ソウル"を堪能できるなんて思わなかった。しかも、この年齢になったそのアタマの中を、心の在り方を。
帯には「内面から美しくなる"いい女"指南」と書かれてある。
でも、これはよくある指南書とは異なっている。
解説に瀧波ユカリさんが書いているように「マイルド説教」ではない。
年齢、洗練、お洒落、女友達、ただならない人、正しい謝り方、無礼者、セレブ考…
63の話を、説教するでもなく感じたままに綴っている。
読んでいると、アッサリとしたお喋りを聞いているようで気持ちいい。
山田詠美の小説のイメージとはまた違うようだけど、たとえパンプスのままベッドに上がろうと、ビスチェの隙間から何を見せようと、甘い罪を重ねようと、決して下品にならないのは同じ。
それはたぶん、小さなマナーや気遣いをあたりまえに身に付けているからだろうとわかる。
ところで、自分の人生の主役であるのを堪能することは、親しい人々の人生の脇役であるのを楽しみ尽くすことでもある。
此処に辿り着けるなんて、素敵な人だな。