ライターの大平一枝さんが好き。
大平さんの文章に初めて逢ったのは、二十年ほど前だろうか。タレントのちはるのインテリア本だった。ちはるのセンスも写真も好みだけど、その文章にとても惹かれた。
調べてみると、大平さんの『暮らしの柄』というサイトがあり、日記やコラムを読めて、著書もわかった。
心のこもった文章と、等身大のエピソード。取材する相手の気持ちに寄り添い、決して驕らない真摯な文章に、仕事の原点、生きる構えをおしえてもらえる。
『昭和式もめない会話帖』は、大平さんが魅了されている小津安二郎、成瀬巳喜男、増村保造、木下恵介…など昭和の映画で、女優の放つ日本語の美しさや粋な会話のやりとりから、人付き合いに役立つ言葉が紹介されている。
私事だけれど、今、父の終末期ケアと向き合っている。看護師さんや担当医と話すとき、私は意思の疎通がとても下手なのだろう。違う意味に取られたり、感謝の気持ちがうまく伝わらなかったりする。
本当に、言葉って難しい。
大平さんは、この本をいつも身近に置いて使ってほしいと書いてある。
たとえ上手く使えなくても、その奥ゆかしさや心意気を真似てみたい。