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老いの道づれ( 沢村貞子 )

尽す女。貢ぐ女。それはたいてい、悪い女とされる。
果たして、ほんとうにそうなのだろうか。
沢村貞子さんのエッセイには、潔さがある。自分が惚れた人に迷いなく愛情をふりそそぐ。
お互い既婚で知り合い、二十余年後に結婚。
沢山の失敗や無念や障壁を、励まし合い労わり合いながら、二人で乗り越えてきた。
「お金が必要と言われれば働けば良いだけですから」と、嬉しそうに書いてある。

 

人は、誰でも、「これだけは譲れない」ものを持っている。自分の中にある揺るぎないもの。それは他人から見れば、頑固だったり面倒だったりする。長く付き合えば、お互いのそんなところが鼻についてくることもある。
でも、相手の其処を侵すことなく大事にしてあげることが、相手を喜ばせることなんじゃないかな、と思う。

何十年も連れ添える男女、友人って、お互いの其処を受け容れ愛おしめる人達じゃないかなと…。

 

「人生の最後に残るものは、集めたものではなく与えたものである」
という言葉がある。

与える喜びを知る人は幸せ。
だから、沢村貞子さんは幸せだったのだろう。

 

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