友人がヘアカラーを止めた。
バッサリショートにして、頭の半量ほどが白い。
髪の流れに白波が映えて、もともと個性的なセンスを持つ彼女にとても似合う。相当おしゃれなのだ。
良いかも。
気になっていたとき、雑誌にそんな特集を見つけた。
さっそく美容院に持参。
「そろそろお洒落なシルバーヘアに」とお願いしたけれど、「まだまだ白いのが足りないですよ」と却下されてしまう。
やはり、白いアタマをお洒落に見せるには、かなりの量とセンスを要するのだろう。
まだ当分ヘアカラーをしなくちゃならないのかなと凹む。
そんなことを思う帰り道、ふと、川上弘美の短編『四度目の浪花節』で、年下の廉ちゃんと四度目の再会をした央子の台詞を思い出した。
「ねぇ、あたしのあすこの毛が、半分くらい白髪になっちゃったこと、廉ちゃん、知らないでしょ」
白髪なんておばあちゃんのシルシみたいだけど、この台詞が妙に色っぽい。
廉ちゃんが離れられなくなるほどの潔さと懐の深さ。
艶があるって、そういうことかも。
白くなるのも案外捨てたものじゃない。
たくさん本を読んでいないけど、短編の中ではこれが一番好き。
ちょっと人恋しくなったとき、開く。
読み終えるといつも、なんかまだ大丈夫、まだ生きられると小さな希望が湧いてくる。
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