not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

世界の果てまで ( 山下達郎 )

少しずつ気温が下がっていく。

あんなに暑かった日々が嘘のように、長袖を着て靴下を履く。

きっともうすぐ、木々は紅葉して渡り鳥もやってくる。

そんな季節になると、山下達郎が聴きたくなる。

たくさんの曲があるけれど、『世界の果てまで』が一番好き。

これを聴くと、ああ冬が来るんだなぁと思う。

 

寒い季節にはあたたかいものが恋しくなる。

食べ物なら、鍋とかシチューとか。洋服なら、ウールやファー。

そして、人恋しくなるのもこの季節。

 

  どうして こんなに せつない気持ちにさせるのあなたは…

 

せつないのは苦しいけど、やっぱりせつなさを忘れたら人はトゲトゲするような気がする。せつない気持ちが無くなったときが、恋も消滅するとき。

月を仰いだり、風を聞いたり、夕陽を見たり、自分を抱きしめたり、誰かに抱きしめてほしかったり。

そんな想いを胸に、日々を過ごす。

 

  季節は必ず変わるよ 気付かぬほどに少しずつ…

 

あたたかい想いが、届きますように。

 

 

 

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サヨナラ、学校化社会 (上野千鶴子)

もう二十五年間同じ仕事をしているけれど、やりながらいつも疑問ばかり感じている。

仕事の時の自分の言動が、自分の考え方に合っていないのがわかる。

それでも、決められた社会のルールに乗らなければ仕事の目的が果たせないので、違和感との折り合いをつけながらやっている。

 

大学を卒業する前、高校の恩師に「うちの高校で働く気があれば来てもいいよ」と言われたことがある。

恩も顧みず、すぐにお断りしてしまった。

 

学校という社会の中で、私は決して仕事が出来ないとわかっていたので、一般企業に就職をした。

だけど、その一般企業でも、私は違和感ばかり感じていた。

早くに会社に見切りをつけ、ちょっとしたことがキッカケで今の仕事を一人で細々と続けている。

 

雑誌に紹介されていた上野千鶴子さんの『サヨナラ、学校化社会』というタイトルを見つけたとき、ここに答えがあるような気がしてすぐに注文した。

 

読んでみて、答えは見つかった。

そして、方法もいくつか教わることができた。

でも、私の力で何も変えることは出来ない。

 

出来るのは、数字だけで判断しないように。

好き嫌いで分けないように。

アタマが良いとか悪いとか、そんな言葉はこの世に存在しない。

皆んな、宝物だからね。

 

 

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ドラマで始まる恋なのに(サザンオールスターズ)

秋になると聴きたくなる曲の一つに、サザンの『ドラマで始まる恋なのに』がある。

これは、1996年に発売された12枚目のオリジナルアルバム『Young Love』に収録されている。

その後、なぜか『バラッド』などのベストアルバムにも収録されず、ライブでもたぶんまだ一度も歌われていない。

こういう曲を"レア"と言うのだろうか。

 

長く活動を続けているどのアーティストにも、こんな風に、たった一つのアルバムでしか聴けない曲があるんじゃないかと思う。

 

その曲が秀逸で、何年経っても好きで、聴くたびに心切なくなる。

可愛い睫毛の先まで恋焦がれてたひと。

死ぬ程愛してせつない言葉で抱きしめたひと。

あの夏の恋が思い出に変わる…

 

今日は、少し遠くの友人の家まで車を走らせた。誕生日のお祝いにランチをご馳走になった帰り道、いつもは通らない農道を走る。

頭を垂れて風に揺れる稲穂や、薄い秋雲が重なる済んだ空を見ながら、この曲を聴いた。

 

ふと、サザンのライブ限定曲の歌詞が頭に浮かぶ。

  

   あの日から何度目の夏が来ただろう

   出逢ったり別れたり繰り返し

   美しい思い出も大切だけど、人生はこれからを夢見ることさ…

 

来年の秋もまた『ドラマで始まる恋なのに』を聴きたくなると思う。

その時、新しい思い出を一つ積み重ねていられたら嬉しい。

 

 

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あん

映画『あん』を観た。

ずっと気になっていたのに、先延ばしにしていたら、主役の樹木希林さんが亡くなってしまった。

なんて、さみしい。

 

この作品は、襟を正して観たいものだった。

「生きる」ということ、「自由」ということ。

「せつない」とか、「嬉しい」とか、そんな言葉では表せない感情。

誰にも苦しみはあるけれど、自分の努力や頑張りでは一生打破出来ない苦しみを背負うこともある。

そんなとき、どう生きるのか。

 

「私たちは、この世を見るために、聞くために生まれてきた
この世はただそれだけを望んでいた
だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ」

 

どれだけ素晴らしい俳優さんがいても、樹木希林さんじゃなきゃ生かせない映画があると思う。

彼女が話すから、生きる台詞がある。

 

河瀬直美監督の映像、カメラアングルもおもしろい。

 

あのカナリアが、どこかの空で鳴いているような気がする。

耳を澄ませたら、きっと、聞こえてくるね。

 

 

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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ☆アディオス

前作から、もう18年も経っていたんだ。

二作目で最後の作品になるらしい『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ☆アディオス』を、ようやく観ることができた。

 

キューバの歴史、自然、音楽。

イブライム・フェレールオマーラ・ポルトゥオンドコンパイ・セグンド、ルベーン・ゴンサーレス…高齢のミュージシャン達の演奏、声、懐深さ、揺るぎなさ。

人生とか、苦悩とか、愛とかをもう一度見つめたくなる素敵なドキュメンタリー。

 

産まれた場所も、環境も、年代もそれぞれ異なる私達が、抗えない中でどう生きるのか。幸せとか不幸とかの言葉で分けられないアディオス。

その答えは、この映画の中の彼らの顔に書かれているような気がした。

 

たまたま、この日、友人からランチに誘われた。

実はこういう映画を観に行くつもりなんだけど、良ければ一緒にどう?と誘ってみた。

音楽や映画には興味の無い彼女が、珍しく乗り気になって二人で観た。

観終わって外に出て信号を待っていたら、友人が

「あんな人生も良いなと思った」

と、ポツリ。

 

何にしても、映画のラストからエンディングまで、立ち上がって踊りたかった。

なぜ皆んな、座っていられるのか不思議だった。

次回、DVDで観るときは、ひとりでいっぱい踊ろうと思う。

 

 

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アンコール( 斉藤和義 )

晴天続きの酷暑が、少ーし緩まったら、今度は連日の大雨。

日本各地で、豪雨や地震、土砂災害が続く。

被災した人達のことを思えば、やっぱり気持ちが沈む。遠い空の向こうを案じていたら、自分のスマホがけたたましく緊急速報を知らせる。

他人事じゃないね。

 

ようやく雨があがったけれど、今朝はめずらしく体が重く家に籠る。

篭って、一昨日と昨日の洗濯物を乾かしたり、仕事の書類を作ったりしていると、よけいに体調が悪くなってくる。

そこへ、お世話になっている本屋さんから電話。注文していた文庫が届いたそうだ。

 

服を着替えて、出かける。

そうだ、新しい企画を考えていたんだ。先日、友人から提案をもらったもの。

実現できるかわからないけれど、やってみたいなぁと思いながら雨上がりの少し冷んやりした道を歩く。

 

   どこへ行こうか お酒も飲みたいから たまには歩いて行かないか
   雨もあがって 風も涼しくなった きれいな月も出てる…

 

ふと、斉藤和義の『アンコール』が頭の中を流れる。

やりたいことは、やれるうちにやっておきたい。

逢いたい人に、逢えるうちに逢っておこう。

 

本屋から帰ると、少し元気が出てきた。

今日も仕事だ。

 

 

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Segundo Trio Esperanca (Trio Esperanca)

十年ほど前だったか、まだネットでの交流が新鮮だった頃。

ある「掲示板」で色々な方とお話しさせてもらっていた。

経営者さん、お医者さん、物理研究者さんなど、職種も年齢もバラバラな方達が、音楽、映画、スポーツ、暮らし…それぞれの日々の一部を共有する。

みなさん、ウイットある会話をあっさりとしていたので、気負いなく楽しかった。

優しい方ばかりで、映画や音楽アルバムの情報を教えてもらったり、たまにCDのコピーを送ってもらったりもした。

 

トリオ・エスペランサの『Segundo 』は、そのうちの一枚。

ブラジルで生まれた三姉妹のコーラスグループ。

このアルバムは彼女達の二作目で、アントニオ・カルロス・ジョビンの作品が中心となっている。三人の絶妙なアカペラが、なんとも言えず美しい。

 

秋の虫の声、三人の囁きのような会話から始まる。

だから、この季節が来ると必ず思い出して聴く。

気温はまだまだ高いけれど、忙しかった夏が終わりちょっとひと息つける季節にとても似合う。

そして、聴きながらいつも、このアルバムを薦めてくれた人はお元気かしらと思う。

ずいぶん前にその掲示板は無くなっても、後に結婚したという便りをいただいた。

 

ネットにも良い出逢いがある。

皆さんが元気でありますように。

 

 

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