not too late

音楽と本と映画と日々⑅︎◡̈︎*

人にやさしく (THE BLUE HEARTS)

友達4人で食事をしていたら、一人が最近またブルーハーツを聴いてると言う。

朝の出勤時の車の中は大音量よ、と笑う。

えー。彼女がブルーハーツを聴くとは知らなかった。嬉しい。

他の二人は、キョトンとしている。ブルーハーツを知らないのだって。これもまた、えー。となる。

 

よく聴いていたのは子育てをしていた頃。

親の病気も重なり、日々に追われ、時間を追いかけ、人の言葉にぐるぐると回って。

帰り道はいつも、甲本ヒロトの歌声を聴きながら運転していた。

 

    気が狂いそう やさしい歌が好きで…

    情熱の真っ赤な薔薇を胸に咲かせよう…

    本当ならば今ごろボクのベッドにはあなたがあなたがあなたが居てほしい…

 

帰り道に橋を渡るとき、空に大きな鳥が悠々と飛ぶ。

その鳥たちが、セカセカと暮らす自分を嗤っているように感じた。

わたしもいつかあんな風に自由に飛べるかしらなんて見上げていたけど、今になって分かるのは、何を突破するのも、何を粉砕するのも乗り越えるのも、自分の気持ち次第だったんだね。

 

友人と一頻りお喋りをして家に戻り、久しぶりにアルバムを出した。

今だって、聴けば寄り添ってくれる。

ガンバレって言ってくれる。

やさしくされて、わたしも少し、やさしくなれたら良いのだけれど。

 

 

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デ・ジャ・ヴー (南佳孝)

今年の春は、なかなか暖かくならない。

家の中では、いつまでもウールのセーターを手放せない。

桜は満開を終えてハラハラと散り始めた。家の庭も車も淡いピンク色に埋まる。

つい先日まで、なんとなく気持ちが上がらなかった。

この季節は"木の芽立ち"とか"芽吹き病"とか言われて、芽を出す生命力が人のエネルギーを取っちゃうのだそうだ。

 

海のそばを運転していたら、南佳孝の「デ・ジャ・ヴー」を口ずさんでいた。

1981年にリリースされたオリジナルアルバム『SILK SCREEN』に収録されている。

 

当時、片岡義男の『スローなブギにしてくれ』がきっかけで知り合った人から、同タイトルの映画に誘われた。その映画の主題歌がこのアルバムに入っていて、二人で何度も聴いてライブにも出かけた。

 

もう、せつなさは残っていないけれど、このアルバムはずっと好きで聴き続けている。

「デ・ジャ・ヴー」は、中でも一番好きな曲。松本隆の詞が情景を思い浮かばせる。

私はその情景の夢を何度か見ている。誰かと波止場を歩き、海辺の店でテーブル越しに食事をしてお喋りを楽しむ。

ただ、いつもその相手の顔が見えないまま眼が覚める。

その人は誰なのか、今だわからない。

もしかするとこの先に出逢うのかもしれないし、もう出会っているのかもしれない…

そんなロマンティックなことを考えながら空を見上げて、今日も暮らしに戻る。

 

 

 

 

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Oh! クラウディア (サザンオールスターズ)

数年前までは、アイラインを引かなかった。

歳を取ると顔や体の輪郭がぼやけてくる、というのは本当で、ふと、ガラスや鏡に映った自分の顔が元気無さそうに見え始める。

それで、アイラインを少し入れてみると、いくらかはマシになる。

 

娘におしえてもらいながら、ペンシル、パウダー、リキッドといろいろ試して、ようやく自分の描き易いものが見つかってきた。

 

そんな朝の化粧の時間に

     oh うつろうよなアイラインがいいじゃない…

と、口ずさむ。

 

     恋をしていたのは 去年の夏の頃さ…

 

『Oh! クラウディア』は、1982年にリリースされたアルバム『NUDE MAN』に収録されている。

桑田さんが27歳のときの曲。

誰に恋をしていたのか、誰を見て歌詞を書いたのかわからないけれど、去年の夏の恋を思い出しているせつない曲。

 

きっと、私も恋をしたり失ったりしていた頃だったのだろう。

とにかくよく聴いた。今も、ジンワリと沁みてくる。

 

実は、化粧のとき、マスカラを塗りながら思い出す曲がもう一つある。

     かわいいまつげの先まで恋い焦がれてた…

それも、サザンの『ドラマで始まる恋なのに』。

 

桑田さんて、女の人のどこ見てるんだろう。と、思うほど、その表情や仕草、小さな部位を上手に表現している。

ロマンティストなんだね。歌を作る人って。

 

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スピーチバルーン (大瀧詠一)

雨を降らせながら、春が近づいてくる。

ゆっくりと嬉しそうに、花がほころび鳥が囀る。

 

  細いかげは人文字…

 

ほんわりと白い陽光の中を運転しながら、大瀧詠一の『スピーチバルーン』を口遊む。

 

  君は春の客船 冬の港見てるだけ…

 

言いそびれた白抜きの言葉が、人生にはいくつかある。

なぜあの時言えなかったんだろう、言わなかったんだろうってこと。

少しの後悔も相俟って何かの折に思い出すことがある。

もう二度と言えない人だったら、そんな時、ちょっと泣きそうになるね。

 

仕事が一区切りするのも今の季節。

小さな日々は364苦しくて、1嬉しい。

そんな一日が364をすべて消してくれる。

だけど、その一日が確実ではないから、たくさん力を注いで力をもらう。

 

今年はいつになく連休も取れそう。

のんびりと、春の海でも見に行こうかしら。

 

 

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心に響く言葉、との出合い

好きな雑誌の一つ、&Premium の4月号は『心に響く言葉、との出合い』。

買って帰ってテーブルに置いていたら、娘が見つけて開いていた。

「おかあさん、こういうの、好きよねー」

と、笑う。

そうかもしれない。

 

言葉に心打たれたり、言葉で突然泣けたり、言葉に慰められたり、言葉で前を向けたりする。

ドキっとしたり、ああああと感心したり、うえええと苦しくなったり、ふわああと気持ちが溶けたりする。

 

若い頃、心に響いた言葉は

"やさしくね やさしくね やさしいことは強いこと"

根が優しくないので、優しくあるってどんなことなんだろうと探していたとき出合えた。

 

最近、心に響いた言葉は

"人の一生の最後に残るものは、集めたものではなく与えたものである"

父母の家を片付けて、父母を見送り、自分にもいずれ終わりが来ることをしっかり感じた。

それから、自分はどんな風に逝きたいのかを自然に考えるようになった。

何も持たずに、置かずに逝けたらなぁ…目に見えないものをあげられたらなぁ…そんな願いにピッタリな言葉。

 

この雑誌の中にも、心に響く言葉をいくつか見つけた。

作家の西加奈子さんの

"もの喜びしなさい。"

も、良い。おばあちゃんからお母さんへ、お母さんから加奈子さんへ受け継がれてきた言葉というのが、尚良い。

 

自分の内面にストンと入ってくる言葉というのは、生きてきた中でもう見つけているんだけど文字に出来ていなかった確信。じゃないかと思う。

それを、改めて文字に、リズムに、音にして、全身にピッタリ馴染む。

 

世の中、たっくさんの言葉が溢れている。

その中から、その時の気持ちに沿ったものに出合うのはとても嬉しい。

あなたの心に響く言葉も、おしえてほしいな。

 

 

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この世で一番キレイなもの(早川義夫)

いつの時代から「正直」だけで生きていけなくなったのだろう。

利便性のある嘘は、暗黙の了解で世の中にたくさんある。

建前の決め事は、守られるために作られていない。

見えないフリ。聞こえないフリ。

強いものには巻かれるか吠え返すか。

弱いものには関わらないのか関われないのか。

正直者は馬鹿を見るけれど、馬鹿正直に突き進むのも人を困らせたりする。

とかくに人の世は住みにくいなぁと、何かにぶつかったとき感じる。

 

たまに、とても優しい人がいる。

優しい言葉を当たり前のように人にかけられる。

望んでないことを突然されても、あら良かったねぇとか、わぁ素敵ねぇと言える。

私は素直じゃないので、そんなことが言えなくて自分がめんどくさくなる。

 

そんなとき、この曲を思い出してみる。

綺麗事を言っているのでなく、説教じみてなく、ただあるがままを書いている。

早川義夫は、先に本を読んで、それから音楽を聴いた。

アマタがこんがらがったとき、そのモヤモヤがすーっと消える。

 

いい人はいいね 素直でいいね

キレイと思う心がキレイなのさ…

 

だからって、いい人にはなれないんだけどね。

 

 

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一切なりゆき (樹木希林)

本屋の中を歩いていると、樹木希林さんの言葉を集めたものが出ていた。

先日お亡くなりになったのに、早いなぁと思う。

いろんなメディアが彼女の言葉を取り上げ、それは様々な人たちの胸を打ち夫々の人生を顧みるきっかけとなった。

私は意地悪なのだろう。亡くなった後で出版される本というのは、あまりしっくりこない。それでも、

「これは、買っちゃうでしょう」

即、手に取ってしまった。

 

統計なんていうのは、わたしは全然信じてないの。人気投票とかああいうのに時どき出たりするんですけど、噴いちゃうんですよ。ああ、もう個としての魅力がだめになったなあと思って。

 

私がこういう取材を受けるメリットはどこにあるの?あなた方のメリットはわかるの。えっ、私の話で救われる人がいるって?それは依存症というものよ、あなた。自分で考えてよ。

 

誰でも、だんだんと生きる時間が短くなる。

できるだけ、柔らかな時間を持ちたくなる。

それでも、自分の意思を通しておきたくなる。

 

立春も過ぎて、花の気配を探し始める頃、雪が降る。

それは例年のことなのに、毎年忘れてしまって、目覚めの雪景色に見惚れる。

こうやって、忘れたり思い出したりしながら日々は重なっていくのだろう。

そうしてある日、プチンと消える。

 

物はいらないから、自己満足のカッコ良さで歩けると嬉しい。

そしてそれを黙って出来るのが、いちばんカッコいいね。

 

 

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